中小製造・建設業にWordPressは必要?ホームページを自社の資産にする考え方
ホームページの修正をお願いしても、対応まで何か月もかかる。毎月管理費を支払っているが、何を管理してもらっているのか分からない。制作会社を変更したくても、メールが止まりそうで動けない。
中小製造業や建設業の支援現場では、このような相談を受けることがあります。
問題は、現在の制作会社との関係だけではありません。
そもそも自社の目的や運用体制に対して、ホームページの仕組みが複雑すぎる可能性があります。
結論から言うと、定期的な記事更新や複雑な機能を必要としない中小製造・建設業にとって、WordPressはオーバースペックになることがあります。
必要なのは、高機能なホームページを持つことではありません。
取引先や紹介先から検索されたときにきちんと見つかり、自社の技術や対応内容が伝わり、問い合わせにつながること。そして、制作会社が変わっても会社自身が主導権を持ち続けられることです。
ホームページを作ったのに、2年間公開できなかった
以前、西多摩地域の製造業者様から、ホームページについて相談を受けました。
補助制度を利用してホームページを制作したものの、修正や確認に時間がかかり、完成したサイトをなかなか公開できない状態が続いていました。
ホームページにはECサイトの機能も組み込まれていましたが、実際の事業では使われていませんでした。
一方で、ホームページや会社のメールに関係するドメインとサーバーは制作会社側で管理されており、事業者様は簡単に契約を変更できないと感じていました。
「ホームページの契約をやめたら、会社のメールまで使えなくなるのではないか」
その不安があり、状況に不満を感じながらも動けなくなっていたのです。
ここで大切なのは、制作会社を批判することではありません。
なぜ事業者様が身動きを取りにくい状態になったのかを確認し、同じ問題が起きない仕組みに変えることです。
高機能なホームページが、よいホームページとは限らない
WordPressは、世界中で使われている高機能なホームページ管理システムです。
記事を継続的に投稿したい、複数人でコンテンツを管理したい、会員機能や外部サービスとの連携が必要といった会社には、有力な選択肢になります。
しかし、すべての会社にWordPressが必要なわけではありません。
中小製造業や建設業のホームページでは、主に次のような役割が求められます。
- 会社名で検索したときに正しい情報が見つかる
- 何を作れる会社なのかが分かる
- 対応できる工事や業務の範囲が分かる
- 実績や設備、技術力が伝わる
- 所在地や連絡先が確認できる
- 電話や問い合わせフォームから相談できる
- 採用を検討する人に会社の雰囲気が伝わる
記事を毎週投稿したり、複雑な機能を追加したりすることが目的でなければ、高機能な管理システムは必須ではありません。
機能が増えるほど、更新、セキュリティ対策、バックアップ、プラグインの管理など、運用に必要な仕事も増えます。
その仕事を社内で担当できなければ、制作会社への依存が強くなります。
つまり、ホームページを高機能にした結果、自社では扱えない仕組みを抱えてしまうことがあるのです。
WordPressがオーバースペックになりやすい会社
次のような会社では、WordPressが必要かを一度見直してもよいでしょう。
- ホームページを頻繁に更新する予定がない
- 社内にWeb担当者がいない
- ブログやお知らせを継続できていない
- 必要なのは会社案内、事業内容、実績、問い合わせフォームが中心
- WordPressの管理画面をほとんど使っていない
- 制作会社へ依頼しなければ変更できない
- 保守費用の内容を会社側が把握していない
- プラグインやサーバーの管理を負担に感じている
もちろん、これらに該当するからといって、現在のWordPressをすぐに廃止する必要はありません。
問題なく運用できており、費用や管理内容にも納得しているなら、そのまま利用する判断も合理的です。
見直すべきなのはWordPressそのものではなく、自社の目的に対して、その仕組みと運用負担が合っているかどうかです。
WordPressが向いている会社もある
反対に、次のような場合はWordPressの機能を活かしやすくなります。
- 社内に更新担当者がいる
- お知らせや記事を継続的に発信する
- 製品情報や施工事例を頻繁に追加する
- 複数人でページを編集する
- 将来的な機能拡張を予定している
- WordPressの保守担当者が明確になっている
- 更新、バックアップ、セキュリティ対策の体制がある
判断基準は、「WordPressが高機能かどうか」ではありません。
その機能を実際に使うのか、継続して管理できるのかという点です。
使わない機能を多く持つより、自社に必要な情報を確実に掲載し、無理なく維持できる仕組みの方が実務では役立ちます。
自社で持つべきものと、外部へ任せるものを分ける
ホームページの制作や技術的な管理を外部へ任せること自体は問題ではありません。
中小企業がすべてを社内で対応しようとすると、本業に使う時間が減ってしまいます。
ただし、外部へ任せる仕事と、会社自身が持つべきものは分けて考える必要があります。
会社側で把握しておきたいのは、次の情報です。
- ドメインの契約者と管理先
- サーバーやホームページサービスの契約内容
- 会社のメールがどこで管理されているか
- ホームページの管理者権限
- Googleビジネスプロフィールの管理者
- Google AnalyticsやSearch Consoleの権限
- 契約を終了した場合に受け取れるデータ
- 毎月の保守費用に含まれる作業
日々の更新や専門的な作業は外部へ任せても、ドメインやアカウントまで外部の会社だけが管理する状態は避けた方が安全です。
依頼先が変わっても事業を継続できるよう、会社名義で持つべきものは会社名義にし、必要な権限を自社にも残します。
制作者の引退や廃業に備えて確認すべき管理情報については、ホームページの制作者が引退したら?管理権限と引き継ぎで確認すべきことでも詳しく解説しています。
制作会社を変更する前に確認すること
現在の制作会社から変更したい場合も、先に契約を解約するのは避けましょう。
ドメイン、サーバー、メールが同じ契約の中で管理されていると、ホームページだけでなく会社のメールにも影響する可能性があります。
次の順番で確認します。
- 契約書、見積書、請求書を集める
- ドメインの契約者と管理先を確認する
- サーバーとメールの構成を確認する
- ホームページの管理者権限を確認する
- 必要なデータとバックアップを確保する
- 新しい依頼先へ移行方法を相談する
- 移行完了後に現在の契約を終了する
分からない部分があれば、現在の制作会社に「社内の管理情報を整理したい」と伝え、契約内容と管理状況を確認します。
対立することが目的ではありません。
会社のホームページを、依頼先が変わっても引き継げる状態に戻すことが目的です。
「ちゃんと見つかるHP」を作った理由
FP Supportersが提供している「ちゃんと見つかるHP」は、このような中小企業の支援現場で感じた課題から生まれました。
私たちが目指しているのは、たくさんの機能を載せたホームページではありません。
中小製造業や建設業など、専任のWeb担当者を置くことが難しい会社が、無理なく持ち続けられるホームページです。
重視しているのは、次のような点です。
- 会社名やサービス名で正しく見つかる
- 会社の強みや実績が伝わる
- 電話やフォームから問い合わせできる
- Googleビジネスプロフィールなど周辺情報も整っている
- ドメインや必要なアカウントを顧客名義で持てる
- 制作会社が変わっても会社側に主導権が残る
- 公開後も必要な情報を確認・改善できる
ホームページは、制作会社が所有するものではなく、お客様の事業を支える資産であるべきです。
そのため、必要以上に複雑な仕組みを勧めるのではなく、その会社が本当に必要としている役割からホームページを設計します。
ホームページに必要なのは「多機能」より「目的に合うこと」
中小製造・建設業のホームページでは、WordPressを導入すること自体が目的になってはいけません。
最初に考えるべきなのは、誰に見つけてもらい、何を伝え、どのような相談につなげたいかです。
その目的を実現するためにWordPressが必要なら、WordPressを選ぶ。
もっとシンプルな仕組みで十分なら、運用負担の少ない方法を選ぶ。
この順番で考えることが大切です。
ホームページの仕組みを会社の規模や運用体制に合わせることで、制作会社に依存しすぎず、本業に集中しながらWeb上の信頼を維持できます。
まとめ
定期的な情報発信や複雑な機能を必要としない中小製造・建設業では、WordPressがオーバースペックになる場合があります。
高機能な仕組みを導入しても、社内で運用できず、外部へ任せきりになれば、費用と管理負担だけが残る可能性があります。
大切なのは、WordPressを使うかどうかではありません。
- 自社の目的に合っているか
- 無理なく運用を続けられるか
- 会社自身がドメインや権限を持っているか
- 依頼先が変わっても引き継げるか
- 会社の強みが正しく伝わっているか
この5点を確認することです。
ホームページは、高機能であるほどよいわけではありません。
きちんと見つかり、会社の仕事が伝わり、必要な問い合わせにつながる。そして、会社の資産として持ち続けられる。
それが、中小企業にとっての「ちゃんとしたホームページ」だと私たちは考えています。